第1章 代筆家のおしごと
余はいかにして代筆家となりにしか
5.今後どうなっていきたいか?
目標は、このビジネスを生涯続けることです。とはいえ、しばしば「維持しようと思ったら向上しようとすること。維持につとめると低迷してくる」と言われるように、続けるからには続けるなりの心構えや取り組みが必要だと思います。しかし、私の感性のまずさというか、出世欲・金銭欲といったものが、ほとんどないのです。ああなりたいこうなりたい、あれがほしい、これがほしい――そう言ったものがない。年商一億円達成!とか、社屋を建てようとか思わないし、必要と感じない。あわせて個人的な欲求も薄い。物はあまり持ちたくないし、ジャンクフード・B級グルメで満足だし、旅行はめんどくさい。いまこの原稿を書いているこぢんまりとした私室で、好きな時に寝て、気が向いた時に働く。健康に気を付けつつ、好きなものを食べ、たまに散歩する。ぶっちゃけ、もう何もいらない具合です。だから、事業拡大や収益増進のうたい文句で自分のやる気を釣ることができない。向上意欲がわかず、その方針を探ろうにも発想のとっかかりすら思い至らないのです。今の状態が心地良いことは、向上心の大きな妨げなのでしょう。経営者失格を自覚していますが、まぁ個人事業のクリエイターには、よくあるメンタリティーではないでしょうか。別に金持ちになるためにはたらいているじゃない。幸せになるためにはたらいているんだ……。
まあ、無欲であることに頑なである理由など微塵もないので、この原稿を書きながら自分の事業を振り返って、向上も反省も含め、何か新しい気づきがあったらいいと思います。